Vol.07 にきびの外科的治療
2014年04月10日
8年間、複数医院で内服薬、塗り薬で治療を続けるも悪化して来院
当院でマイクロ排膿、ビタミンCイオン導入、フォトで加療して2年6ケ月現在再発は見られない
はじめに
医学書によるとニキビとは毛穴(脂腺性毛包)における皮脂の貯留とそれに引き続いて生じる炎症を含めた毛包脂腺系の皮膚疾患と説明されています。
日本人の9割以上が経験し男女とも13歳頃に発症して20歳頃には多くの場合自然に軽快するとされています。また、12才から18才までの7年間の小、中、高校生のにきび人口は700万人弱(日本の人口の約5%)との報告があります。
しかし、最近の日常診療においては、食生活の変化や男女雇用機会均等法の定着による女性のストレス過多が原因なのか、20歳以上のニキビの方がとても多く来院されます。19才から25才までの7年間、2 6才から32才までの7年間、そしてそれ以上の年齢のにきび患者を含めると700万人をはるかに超えるにきび人口があると推測されます。
また、従来のにきび治療ではなかなか治らない重症ニキビも多くなっているように思われます。重症ニキビの中には視線恐怖症や身体醜形恐怖症などで心療内科を受診したり、登校拒否をしたり、自殺を考えたり、鬱になったりと深刻に悩まれている方があり、単なる一過性の皮膚疾患として安易に処理できない問題をはらんでいます。多感な若者の顔に発現し、醜形による精神的苦痛があるために深刻であり、もっと注目され積極的に対応されてよいと考えます。
にきびの発症機序とにきび治療の現状
にきびの発症機序に関しては詳しい研究がなされ、それに基づいた細かい治療指針が日本皮膚科学会より示されています。
病因としては?皮脂分泌の亢進、?内分泌異常(男性ホルモン亢進など)、?毛穴の角化異常、?アクネ菌感染などがあげられています。そして、それに対してケミカルピーリング、抗生剤、アダパレン外用(商品名はディフェリン)、漢方などで皮膚科的・内科的に対応され、理学療法として面包圧出も紹介されています。
特にアダパレン外用(商品名はディフェリン)の登場でにきび治療は飛躍的に前進したとされ、それによって綺麗に治った症例も多数報告されています。
これら日本で行われている治療は、実は世界の標準治療でもあり、米国やフランス、英国などのヨーロッパでも同じ治療が行われているようです。ですから世界のにきび治療も皮膚科的・内科的に行われているということになります。(外国ではニキビに著効を示すが強烈な副作用もあるビタミンAの内服薬や耐性菌が少ないとされる外用の過酸化ベンゾイルなども承認されているようです。)
※2015年4月から日本でも過酸化ベンゾイルがベピオゲルとして保険適応になりました。
一方でこれらの治療に対して、ご本人の薬剤使用法のまずさや抗生剤の長期使用による耐性菌や真菌感染の発現、そして不適切な角質ケアによる敏感肌などで治療が難渋し、ひどいニキビによる醜形で大変困っておられる方が多数いるのも事実です。
にきびの外科的治療の可能性
ところで、この治療に難渋するニキビに対して全く発想を変えて別の角度からとらえ直して治療してみることはできないでしょうか。病因は違うが、にきびを単純にオデキや皮膚内の異物と同じ病態としてとらえて外科的に対応してみるのです。オデキや異物は一時的に皮膚科的・内科的に対応することもありますが、やはり、根治するためには外科的治療が必要になります。同様にニキビを外科的に治療し、内容物を排出することで根治する可能性を求めてみるのです。
ただし、外科的治療を成功させニキビを根治するためにはいくつか克服すべき課題が考えられます。
神戸山手クリニックのにきび治療
実は神戸山手クリニックでは開院当初からニキビに対してマイクロ排膿という外科的治療で対応してきました。このマイクロ排膿はニキビの内容物を完全に排出できる、既に完成された治療として提供しています。にきびは内容物を全て排出すると完治しますのでマイクロ排膿はニキビの根治療法であり、これによりニキビの外科的治療法は確立されたものと認識しています。(皮脂腺は破壊されないので再発の問題など議論の余地はあると思いますが・・・)
にきびの外科的治療の特徴としては、まずどんなニキビでも確実に治るということです。そして治りが早いこと、いやらしいシミなどの炎症性変化もいずれ消失してしまうこと、抗生剤を使用しなくても治ること(もちろん使用することもあります)、厚化粧しても治ること、さらに、明るくて透明感のあるキレイな肌に仕上がることが多いことなどが挙げられます。
当院には毎日、マイクロ排膿を中心とするニキビ治療のために多数の方が来院されます。痛みがあるにもかかわらず、2枠、3枠と希望して治療を続けられる方がいるのを見るにつけ、ニキビの方の悩みが深刻であり、マイクロ排膿というにきびの根治療法が確立されて本当によかったなあと思っているところです。
そして、このニキビの外科的治療の確立により日本だけではなく、世界にも多数いると思われるニキビによる醜形で精神的苦痛を感じている若者やストレス過多のキャリアウーマンやその他の方々が、必ずや容貌的にも精神的にも癒されて快適な生活を送ることができるようになると確信しています。
当然のことですが、このマイクロ排膿は軽度のニキビや中等度のニキビにも、また背中やデコルテのニキビに対しても 根治療法となります。
下に当院のニキビ治療前後の画像例を添付しましたが、短期間で軽快されたことがお分かりいただけると思います。どうぞご参照ください。
初診時
マイクロ排膿治療後4ケ月1週間
初診時
マイクロ排膿治療後3ケ月4日
左肩から背中のにきび 初診時
マイクロ排膿、ビタミントリートメント治療後1年3ケ月
感動あるクリニックを目指してをご参照ください。
心の痛みと体の痛み
マイクロ排膿にはデメリットとして外科的治療につきものの痛みがあります。 それでもひどいニキビで来院された患者さんは痛みを理由に治療を中止するということはまずありません。それほど精神的に悩んでいるということですが、心の悩みを痛みに置き換えてみると心の痛み(精神的苦痛)の方が体の痛みよりもより深刻であるということもいえると思います。ただ、痛いということは誰にとっても良いことではありませんので、ひき続き痛みのない治療を工夫していきたいと考えています。
にきび・にきびあとのページもご参照ください
患者様の声 N様
私はニキビに20年悩み続けた30代女性です。
私が先生の言葉で心に残っているのは、「ニキビ治療は心を治す」という言葉です。ここのクリニックの先生、スタッフの皆さんは、ニキビに悩み、苦しんでいる人の心に寄り添ってくれていると思います。悩み、苦しみを分かろうとしてくれる人がいるだけでも嬉しかったです。
治療の痛みは今まで痛んでいた心の痛みの何百分の一です。どんどん治っていく顔を見て気づくのは、治っているのは顔のニキビだけでなく、「心」もであるという事実です。
今年に入って結婚が決まりました。先生に、「先生のおかげです」と言った言葉に嘘はありません。先生にも喜んでいただけて、感謝の気持ちでいっぱいになりました。
これからもまだ通院したいので、今後ともよろしくお願いします